EAのロジックの見える化を
EAを作る際は、そのロジックを定量化、文章化して考えることが非常に重要です。乱暴に言えば、定量化、文章化できないトレードアイデアはEAにできないのです。
定量化と言っているのは、例えば、価格が大きく上昇したらとか、ある指標が横ばいだったらとかでは、ダメということです。
「大きく」とはどれぐらいか?10pipsか100pipsか、その上昇が1本の足でのことか5本分の足でのことか。複数本なら全部が上昇していないといけないのか、全部が上昇していないといけないとしたら、それぞれの足の最低でも満たすべき上昇幅はどれくらいか…。
言葉ならたった一言で済むものでも、仕様にまで落とし込もうとすると、こんなにあれこれ考えないといけません。
人間なら何となく理解できることでも、機械であるMT4には理解できないんですね。全てを厳密に定義しなければならないのです。
プログラミングをやったことが無い人には、何をどこまでどのように定量化、文章化すればEAの仕様になり得るのか、ピンとこないかもしれません。
こればっかりは知識としてお伝えするのは難しく、EAを自分で作ってみるしかありません。逆に言えば、作ってみれば定量化、文章化の重要性に気付くはずです。何となくではプログラミングできませんから。
ところで、EAの仕様を定量化、文章化する訓練は、EA作成業者にEAの制作を依頼する時に役に立ちます(個人的には自身で作ることを推奨しています)。
依頼者側は醸成してきたアイデアをきちんとEA作成業者に全て伝えているつもりでも、多分に暗黙知を含んでいるものであり、EA作成業者は通常、それをある程度「読み取って」EA化します。
この「読み取って」というのが曲者で、優秀な業者なら依頼者側の背景や気持ちを理解し、適切な仕様に落とし込むのでしょうが(業者側が、落とし込んだ仕様を文章化してきたら素晴らしい!)、無能な業者なら適当に理解して自分が作りやすいように作ってしまうでしょう。
これがトラブルの原因になります。言うまでもなく適当に作る業者が一番悪いわけですが、依頼者側も業者の読み取り作業を減らす努力をすべきです。
その努力というのが冒頭に申し上げたEAの仕様の定量化、文章化なのです。
私が以前依頼を受けたある会社さんのEA仕様書は、非常に詳細にロジックの説明が書かれており、どの指標がどういう状態になったらどうしてほしいというのが事細かに書かれていました。そのページ数、ざっと30ページ。これは極端な例ですが、誰かにEAの作成を依頼するというのは、それぐらい定量化、文章化が大事だということです。
どんなにシンプルなEAでも以下の項目は定量化、文章化するようにしましょう
- EA概要(どんなトレードなのか。アイデアを思いついた背景があると尚良い)
- 運用戦略(トレンドフォロー、スキャルピング、ブレイクアウト等)
- 使う指標(MA、MACD、RSI等)
- 仕掛け条件(○○が△△になったら、□□する)
- 仕切り条件(○○が△△になったら、□□する)
- ロットサイジング(固定、複利、ナンピン、マーチン等)
- パラメータ化したい要素(足の本数、閾値等)
余談になりますが、EA作成代行業者の良し悪しの見分け方のご参考情報をお伝えします(効果は保証できませんが、判断材料にはなるかと)。見積り依頼として、仕様をあえて抽象的に書いて渡し、業者の出方を見ます。何もヒアリングせずに見積りを提示してきたら、その業者には依頼すべきではありません。どんなに安くても断りましょう。